はじめに


イープロニクス株式会社から製品や関連技術について情報発信をすることにしました。
定期的に更新していきます。
今回は、電子機器や自動車などに使用されているプリント基板についての概要、また製品開発において重要な基板の試作について触れたいと思います。

<目次>
・ごあいさつ
・プリント回路板とは?
・基板の作製についてのお話
・基板を試作する方法は?
・なぜ試作基板を内製する必要があるか?それらの目的は?
・まとめ

<ごあいさつ>
イープロニクスは、電子回路設計やプリント基板、実装などに関連するソフトウェア、ハードウェアを取り扱っております。
今回より、弊社が取り扱っている製品についての情報やプリント配線板などに関連する情報、関連する技術などを紹介する技術ブログを始めることにしました。様々なトピックを紹介していきたいと思います。

<プリント回路板とは?>
プリント回路板とは、銅張積層板(基板材料)に配線パターンを形成し、穴あけや外形加工をした電子回路として機能する回路基板のことをいいます。一般的に、部品実装がされていないものを『プリント配線板(PrintedWiringBoard=PWB)』、部品実装がされているものを『プリント回路板(PrintedCircuitBoard=PCB)』と呼びます。弊社では、『プリント基板』または『基板』という呼称を使用しております。

<基板の作製についてのお話>
製品の開発や試作に必要な基板を作製するには、プリント基板専門メーカに依頼して基板を作製するのが一般的な方法です。片面基板、両面基板、多層基板からアルミ基板、フレキシブル基板まで、多種多様の技術仕様に応じた基板の作製が可能です。しかし、プリント基板メーカは量産向けの設備を使用することが多く、ウェットプロセスが主となります。そのため、作製枚数に関わらず一定のイニシャルコストが発生し、そして一定期間の納期がかかります。昨今、インターネットから注文し、基板を低コストで作製可能なサービスも増えてきています。それらのサービスは海外や国内の協力工場で作製することが多く、仕様や納期の確認にやや難がある場合があります。

<基板を試作する方法は?>
個人や企業、教育機関でプリント基板専門メーカに依頼せずに基板を試作する方法をいくつかご紹介します。
一つの方法は、ブレッドボードユニバーサル基板を使用する方法です。ブレッドボードやユニバーサル基板は、等間隔に配列された貫通穴に部品やジャンパー線を差し込み、回路として機能させます。半田付けが不要なブレッドボード、低価格なユニバーサル基板は、古くから電子工作などで多く使われています。しかし、電気的な接続のみを形成すrために設計した配線幅や基板全体のレイアウトを再現することは難しいです。またDIP部品よりも表面実装部品が増えてきた現在では、使用用途が限られてきています。

別の方法として、簡易的なエッチングで基板を作製する方法があります。市販の銅張積層板の表面に配線パターンを露光・現像し、エッチング液を使用して導体を溶かします。設計した基板レイアウトを再現でき、非常にきれいな仕上がりが得られます。ですが、穴あけと外形加工をボール盤やカッターなどで別に行う必要があり、手間がかかります。また、廃棄を必要とする薬液を使用する関係から、最近ではあまり試作に使われていない方法です。ですが、プリント基板専門メーカでの量産に関しては、このエッチングが主流となっています。

他の方法として、切削により基板を作製する方法があります。市販の銅張積層板の導体部を工具により切削し、基板レイアウトを細部まで再現・加工します。コンパクトな卓上の装置として、基板加工機やモデリングマシンなどがあります。1台で配線加工・穴あけ加工・外形加工が行え、ドライプロセスで加工するため、設置場所や環境を問わず短時間で基板の作製が可能です。頻繁に基板の試作を行う場合やマイクロストリップラインなどの設計・評価を行う場合は、基板加工機を使用して基板を試作することが多いです。
切削加工で加工が困難な材料を使用する場合や微細なパターンの加工を行う場合は、レーザ加工機により作製する方法もあります。

<なぜ試作基板を内製する必要があるか?それらの目的は?>
自社内や研究室内などで基板を作製する目的としては、以下のようなものがあります。
・設計した回路を評価するため
・設計変更を伴う開発段階で評価基板が必要なため
・LSIなどの部品の動作確認をするため
・はんだ付けや電子回路の機能を実習として学ぶため
・基板間の接続用や変換用としての基板が必要なため
・1点ものや小ロット製品への組み込みをするため
・アンテナパターンの特性を測定・検証するため
・材料開発における断面観察や加工性の確認、表面処理材料の開発に必要なため
機密性を保ったままで設計や開発を行うため
・電子工作などで必要なため
様々な目的がありますが、共通することは 『低コストでの作製』 『短時間での作製』 『必要な時に対応可能なオンデマンド作製』といえます。

<まとめ>
昨今、部品の小型化、製品の高機能化に伴い、試作基板においても0.3 mm程度の配線幅が必要になっています。また、極小部品やリードレス部品の搭載が必要なケースも増えてきています。そのような場合は、低コスト・短期間で設計したレイアウトと同じ基板を作製し評価をすることが必要です。設計時に回路シミュレーションソフトなどを用いて回路機能の確認や発熱の確認、電波特性の確認を行うことは可能ですが、実際に設計した基板を試作部品を実装する必要性とメリットは大きいと言えます。
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